作者:楊華 金杜法律事務所知的財産権部

杨华日、商標申請人に向けて効率的且つ便利な商標登録出願サービスを提供することを目指し、中国商標局は7項の新たな措置を採用すると発表した。これは、近年以来、商標権利人と商標代理機構の要求に対する初めての返事である。前記措置のうち、補正通知書の詳細化、一部業務の加速審査通路の開通などは特に注目を引いている。具体的な措置は、以下のようである。

一、『商標登録出願常見問題ガイド』を整理・公表する。

商標局は、商標登録出願の受理業務実務においてよく見られる問題を網羅し、新『商標法』と『商標法実施条例』が施行された後で新たに現れた状況・問題と結合し、商標登録出願において出願人の気にかかる焦点問題と一般的な問題を整理したうえで、『商標登録出願常見質問ガイド』を編纂し、中国商標局サイトにて公表する。

同ガイドは、商標出願においてよく見られる問題を網羅した。特に注目されることは、新・旧『類似商品・役務区分表』の適用(新たな区分表が公表される前に出願した場合、指定商品・役務の所属分類原則と基準は旧『区分表』に従う)、1商標多区分の出願商標が補正不合格により受理拒否となる場合の処理方法(たとえ補正が命じられる区分は1区分のみだとしても、同不受理決定がほかの区分にも影響を及ぼすため、出願期日を保留できないことになってしまう。これも当方がクライアントに1商標多区分の出願形式を勧めない理由の1つである。)などが挙げられる。

二、商標登録の後続業務の快速審査通路を開通する。

緊急、重大な理由があり、商標の変更、譲渡、登録更新などの後続業務を早めに処理する必要が確かにある場合、申請人は書面申請書と関連証明書類を提出することができる。商標局が審査を経て、条件に満たすと認定するものに対しては加速審査を与え、関連業務の処理時間を短縮する。前記措置は、緊急な需要がある商標権利人にとって大きなメリットとなる。商標局は「緊急、重大な理由」に対する解釈がないが、権利人は実際において厳重な権利侵害に遭う場合に、緊急事態を対応するために早めに関連権利証書或いは証明文書を受領するために、前記事由で審理加速を請求できるはずである。

三、補正通知書内容の詳細化。

出願人が要求に従って補正するように導くために、具体的状況により補正通知書に解釈性又は指導性の内容を増やす。それにより、出願人の補正返答の精確性・対応性が上がると期待する。現在、『類似商品・役務区分表』に含まれていない商品と役務に対し、商標局がほぼ「規範的ではない」という理由で補正を命じ、さらに補正の機会は一回しかない。前記現有措置は、商標出願人と商標代理機構の不満を大きく招いている。今度の「補正通知書内容の詳細化」により現在機械的なやり方が変えられるかどうかはまだ言い切れないが、この効果を期待する。

四、一部の商標業務において、提出される証明材料に対する公証が要求されなくなる。

商標出願人の負担を軽減させ、業務の処理時間を縮めるため、肖像あるいは有名人の氏名を商標態様とする商標の登録、譲渡、取下げ、外国語名義あるいは住所の変更などの手続きを行う場合、出願人より提出される証明材料に公証をすることが要求されなくなる。

五、複数の異議案件に一式の証拠材料を使用することを容認する。

同月に提出された異議案件に対し、もし当事者の提出証拠材料は完全に一致であり(一部証拠の一致ではなく)、且つ初めての案件(異議申立の提出時間に準じる)ですべての証拠資料を提出した場合、後の案件においては同証拠材料を別途提出しなくてもいい。しかし、その場合、目立つところに、証拠資料の所在案件の番号(被異議商標の初歩査定番号又は商標局の異議受理通知書の番号)を明記しなければならない。これは証拠材料が比較的に多い異議案件における証拠コピーのコストを大きく軽減する役割を果たせるため、異議人にも商標代理機構にもグッドニュースである。

六、異議案件の合併審理範囲を拡大する。

両方当事者が同じ、被異議商標の態様が同一で、同じ一式の証拠資料を共同使用する案件、若しくは当事者がお互いに異議申し立てる案件に対し、合併して審理をする。当事者にほかの理由がある場合も、合併審理の申請を提出することができる。商標局は審査を経て、合併審理の条件に満たすと認定すれば、合併して審理を行う。合併審理の範囲を拡大することも、審査効率を高めるためであり、当事者にとって有利な措置である。

七、中国商標局の外部データベースのユーザー体験を改善する。

中国商標局の外部データベースの設置を改善し、内容をタイムリーに更新し、ウェブサイトの安定性を高める。商標ステータスの検索機能を改善し、「書簡の送達・返却」などのプロセス情報を増やし、出願人が審理ステータスを追跡することに便宜を提供する。中国商標局外部データベースは中国商標局唯一のオフィシャルサイトとして、ユーザー数は巨大であるため、技術面の原因でその安定性の悪さと不完備な商標検索機能などがよく文句されている。今回はこの機に、この難題を解決することを期待している。

要するに、前記措置は権利人と商標代理機構にとっては間違いなくよいニュースである。中国商標局が確実に前記措置の実行・推進を貫き、審査業務の品質と効率をさらに高めることが期待される。