執筆者:徐静

日本語編集者:馬立栄、郭煜、王娟娟

2020年5月13日に、中国国務院知的財産権戦略実施活動部局間合同会議弁公室[1]は、「2020年の国家知的財産権戦略の実施徹底による知的財産権強国建設推進加速計画」を公表し、知的財産分野の改革の徹底、知的財産保護の強化等から、2020年の知的財産関連改革を計画した。知的財産に関する要点は以下の通りである。

1、知的財産権に関する立法活動

「専利法」、「専利法実施細則」、「審査指南(専利)」の改正は、国家市場監督管理総局(国家知的財産権局と国家薬品監督管理局がその管理下にある)の2020年の重点任務の一つである。最高人民法院、最高人民検察院、公安省は専利、商業秘密等の知的財産民事、刑事訴訟の司法解釈草案の起草を進める。

2、専利の質を高めるよう審査を強化し、実用新案及び意匠の補助金制度を全面的に廃止する

専利の審査の質及び効率を高めるよう国家知識産権局は専利の審査能力を強化するとともに、質の評価体制を整備し、高価値専利の審査周期を16か月以内まで短縮させ、集中審査、優先審査、審査ハイウェイ、遅延審査等を完備させる。同時に、実用新案、意匠の補助及び奨励を取消し、専利の質を高めるよう政策を強化する。

3.知的財産権の司法保護の強化

最高人民法院は知的財産権民事、行政、刑事裁判の一体化を進め、知的財産事件の裁判指導を強化するとともに、知的財産民事訴訟の複雑な手続きと簡素な手続きの分別化を試行する。

4.知的財産権の行政保護の推進

国家知識産権局は行政の法律執行の業務指導体系を健全化し、専利権侵害紛争の行政裁決模範の建設及び知的財産権侵害紛争の検測鑑定技術サポートシステムの試行を進め、専利権侵害紛争の行政裁決と専利の権利確認の手続きの協働体制を確立する。また、米国、EU、ロシア、日本及び韓国等と税関での法律執行の提携体制を強化する。

2020年計画全文はhttp://www.cnipa.gov.cn/gztz/1148642.htmを参照。

[1]中国国務院知的財産権戦略実施活動部局間合同会議弁公室は、国家知識産権局が主導し、最高人民法院、最高人民検察院、公安省、国家市場監督管理総局、版権局等を含む31の部局と部署が共同で設立したものであり、各部門や部署の作業を調整し、国家知的財産戦略を深く実施し、知的財産権強国の建設を加速することを目的とする。