執筆者 馬 立栄 王 娟娟 郭 煜

一、中国専利法改正案(草案第二回審議稿)の意見公募

2020年7月3日、「中国専利法改正案(第二回全人代常務委員会審議稿)」が公開され、2020年8月16日まで意見公募が行われている。

今回の専利法改正案は、四回目の改正で、早くも2011年11月からすでに改正の準備作業に入り、2015年4月一回目の意見公募案が公開された。その後、2015年12月国務院法治弁公室による草案の意見公募及び2019年1月の全人代常務委員会による一回目の審議が行われた草案の意見公募を経て、今回の意見公募案に至った。そろそろ改正の最終段階を迎えようてとしている見方が多い。

専利法四回目の改正は、全体として、以下のような課題に鑑みて行われたものである。

  • 権利行使する際、立証が難しくてコストが高いのに対し、損害賠償金が低い。
  • 区域に跨った侵害及び電子商取引の発展にしたがってネット侵害が増えている。
  • 専利の実施と運用を促進し、専利の価値を実現する。
  • 国際条約に加盟するための整合性及び出願人の専利取得の利便性を向上するニーズがある。
  • 専利権の付与制度をさらに完備する必要がある。

今回公開された公募案は以上の課題の解決につながるのみならず、中米貿易交渉の知的財産の条項も反映され、要点は以下の通りである。

1.懲罰的損害賠償制度の導入(添付の草案71.2を参照)

ご周知の通り、2020年5月28日に採決された「中華人民共和国民法典」(2021年1月1日より施行)の1185条には、すでに知的財産権の故意侵害については、権利人は懲罰的賠償を請求する権利を有すると規定されている。

また、中国政府は近年来、例えば、2014年12月「国家知識戦略行動計画の実施深化(2014-2020年)」、その翌年、「新情勢下における知的財産強国の建設加速に関する国務院の若干意見」、2016年12月「第13次5カ年計画の国家知的財産保護と運用計画」といった一連の施策を順次打ち出した。そのいずれにも、知的財産保護強化の内容が含まれている。

したがって、専利法の改正案には一つの大きなポイントは、故意による侵害(主観的要件)、かつ情状が深刻な場合(客観的要件)、損害賠償を1倍~5倍まで引き上げることが可能であるという懲罰的損害賠償制度である。

なお、損害賠償を規定する71条には、さらに、現行の損害賠償金の算定優先順位(権利人の実際損害→侵害者の獲得利益)を取消し、権利者に算定方法の選定の自由を与えると改正された(草案第71.1を参照)。

意匠や実用新案といったような小発明の損害賠償は必ずしも10万元(今回の改正案の前の草案には、法定損害賠償を10万~500万人民元と規定された)に達するとは限らないため、法定損害賠償の下限を取消した(草案第71.2を参照)。

2.権利侵害と判断された場合、損害賠償金を決定する際の立証責任の転換(草案第71.2を参照)。

似たような条文は、すでに2016年4月1日より施行された「最高人民法院による専利紛争事件の審理における法律応用若干問題の解釈(二)」の第27条に規定されている。損害賠償金が低い課題を解消するためにさらに専利法において明文化された。実務において、すでに先行して実行されている。

3.意匠制度の国際協定への整合性に関する変化

意匠制度は、今回の草案において、変化が大きい。国際ハーグ協定との整合性を図るように保護期間が現行の10年から15年(草案第42条を参照)と改められたとともに、国内優先権(草案第30条を参考)も導入された。また、意匠の保護を強化するニーズを満たすように部分意匠制度(草案第2条を参照)が導入された。

4.職務発明関連

職務発明については今回の草案には大きな変化がなく、発明者・考案者・創作者のモチベーションを高めるよう国が推奨した従業先と発明者・考案者・創作者との間の利益分与の形態を例示した(草案15条を参考)。また、草案第6条には、発明の実施と運用を促進するよう従業先は職務発明について処置する権利があるとさらに明確化された。

それ以外、特に職務発明の報酬・奨励は当事者間の約束優先原則のため、変わりがない。

5.専利の開放許諾制度の導入(草案第50-52条を参照)

中国の近年来の専利(特実意)の出願件数が顕著に伸びてきている。その反面、有効専利の実施率が低いのは課題として認識されている。

専利の実施と運用を促進し、専利技術の提供側と需要側との情報が対称ではなく、その需給双方の架け橋となるよう、イギリス、ドイツのオープンライセンス制度と似たような開放許諾制度が草案に導入された。

6.新規性喪失例外パターンの新設(草案第24条を参照)

草案には、新規性喪失例外には、「国が緊急状態または非常事態になった場合、公共利益の目的のために初めて公開された場合」というがパターンが増やされた。

2020年の初め頃に、中国において、新型コロナウィルスの漢方に関する専利が出願前に他の文章で公開された事例が発生しました。公共利益のために公開された場合、現行法にしたがって新規性喪失となったら、当事者にとって不公平なため、このパターンを新設したと見られている。

7.保護期間の補償及びパテントリンケージ制度の導入

権利付与過程に不合理な遅延が発生し、発明専利の出願日より4年を満たしかつ実体審査請求日より3年を満たした後、その遅延について保護期間の補償を請求することができると草案42.2に追加された。

また、新薬の上市認可の期間を補償するよう計5年を超えない、かつ上市後の計保護期間が14年を超えない補償期間を権利人の請求に基づき与え得ると規定されている(草案第42.3条を参照)。

また、中国の医薬分野で長年議論されてきたパテントリンケージ制度に関する条文が新設されました(草案第75条を参照)。

これらはいずれも2020年1月に合意された中米貿易交渉協議の条項であり、それを実現するために、専利法に規定されたと見られている。

添付 現行専利法と改正案(草案第二回審議稿)の対照表

現行の専利法 修正案(草案)第二回審議稿

第2条 本法でいう発明創造とは発明、実用新案、意匠を指す。

意匠とは、物品の形状、図案又はその結合及び色彩と形状、図案の結合について提案された美感に富み、かつ工業的応用に適した新たな設計を指す。

第2条 本法でいう発明創造とは発明、実用新案、意匠を指す。

意匠とは、物品の全体または局部の形状、図案又はその結合及び色彩と形状、図案の結合について提案された美感に富み、かつ工業的応用に適した新たな設計を指す。

第6条 所属部門の職務を遂行し、又は主に所属部門の物質、技術条件を利用して完成した発明創造は職務発明創造とする。職務発明創造について、専利を出願する権利は当該部門に帰属し、出願が許可された場合は、当該部門が専利権者となる。

第6条 所属部門の職務を遂行し、又は主に所属部門の物質、技術条件を利用して完成した発明創造は職務発明創造とする。職務発明創造について、専利を出願する権利は当該部門に帰属し、出願が許可された場合は、当該部門が専利権者となる。該部門は法に従い、その職務発明創造に係る専利を出願する権利及び専利権を処分することができ、関連の発明創造の実施と運用を促進させる。

第16条 専利権が付与された部門は、職務発明創造の発明者又は創作者に対し奨励を与えなければならない。発明創造専利が実施された後、その普及、応用の範囲及び得られた経済的効果及び収益に応じて、発明者又は創作者に合理的な報酬を与えなければならない。

第156条 専利権が付与された部門は、職務発明創造の発明者又は創作者に対し奨励を与えなければならない。発明創造専利が実施された後、その普及、応用の範囲及び得られた経済的効果及び収益に応じて、発明者又は創作者に合理的な報酬を与えなければならない。

国は、専利権が付与された部門が、株、オプション、配当などの形で財産権による激励を実施し、発明者又は創作者にイノベーションによる収益が合理的に分配されるようにすることを奨励する。

20条 専利出願及び専利権の行使は誠実信用の原則に従わなければならない。専利権を濫用して公共の利益又は他人の合法的な権益を損なってはならない。

専利権を濫用して、競争を排除又は制限し、独占行為を構成する場合は、「中華人民共和国独占禁止法」に基づいて処理する。

第21条 国務院専利行政部門及び専利復審委員会は、客観性と公正性、正確性、適時性の要求に従い、法に基づいて関連する専利出願及び請求を処理しなければならない。

国務院専利行政部門は完全かつ正確に、適時に特許情報を発表し、特許公報を定期的に発行しなければならない。…

第21条 国務院専利行政部門及び専利復審委員会は、客観性と公正性、正確性、適時性の要求に従い、法に基づいて関連する専利出願及び請求を処理しなければならない。

国務院専利行政部門は、専利情報の公共サービス体系の構築を強化し、専利情報を、完全かつ正確に、適時に発表し、専利基礎データを提供し、専利公報を定期的に発行し、情報の伝播と利用を促進しなければならない。…

第24条 専利出願に係る発明創造について、出願日前6月以内に、以下に掲げる状況のいずれかに該当する場合、新規性を喪失しないものとする。

(一)中国政府が主催し又は承認した国際展示会で初めて展示された場合

(二)規定の学術会議、又は技術会議で初めて発表され場合

(三)他人が出願人の同意を得ずに、その内容を漏洩した場合

第24条 専利出願に係る発明創造について、出願日前6月以内に、以下に掲げる状況のいずれかに該当する場合、新規性を喪失しないものとする。

(一)国が緊急状態または非常事態になった場合、公共利益の目的のために初めて公開された場合

)中国政府が主催し又は承認した国際展示会で初めて展示された場合

)規定の学術会議、又は技術会議で初めて発表され場合

)他人が出願人の同意を得ずに、その内容を漏洩した場合

第25条 次に掲げる各号に該当する場合に専利権を付与しない。

(五)原子核変換方法により得られた物質

 

第25条 次に掲げる各号に該当する場合に専利権を付与しない。

(五)原子核変換方法及び原子核変換方法により得られた物質

第29条 …

出願人が発明又は実用新案を中国で初めて専利出願した日から12月以内に、国務院専利行政部門に同様の主題についてまた専利出願をする場合、優先権を享有することができる。

第29条 …

出願人が発明又は実用新案を中国で初めて専利出願した日から12月以内に、又は意匠を中国で初めて出願した日から6月以内に、国務院専利行政部門に同様の主題についてまた専利出願をする場合、優先権を享有することができる。

第30条 出願人が優先権を主張する場合、出願に際して書面による声明を提出しなければならず、かつ3月以内に最初に提出した専利出願書類の副本を提出しなければならない。書面による声明を提出しておらず、又は期限を過ぎても専利出願書類の副本を提出していない場合は、優先権を主張していないものと見なされる。

第30条 出願人が発明、実用新案専利の優先権を主張する場合、出願に際して書面による声明を提出しなければならず、かつ最初に出願した日から16月以内に最初に提出した専利出願書類の副本を提出しなければならない。

出願人が意匠専利の優先権を主張する場合、出願に際して書面による声明を提出しなければならず、かつ3月以内に最初に提出した専利出願書類の副本を提出しなければならない。

出願人が書面による声明を提出しておらず、又は期限を過ぎても専利出願書類の副本を提出していない場合は、優先権を主張していないものと見なされる。

第42条 発明専利権の存続期間は20年とし、実用新案専利権と意匠専利権の存続期間は10年とし、いずれも出願日から起算する。

第42条 発明専利権の存続期間は20年とし、実用新案専利権と意匠専利権の存続期間は10年とし、意匠専利権の存続期間は15年とし、いずれも出願日から起算する。

発明専利の出願日から満4年で、かつ実体審査請求日から満3年後に発明専利権が付与された場合、専利権者は、発明専利の権利化の過程での不合理な遅延について専利権の存続期間の補償を請求することができる。ただし、出願人に起因する不合理な遅延はこの限りでない。

新薬の販売審査・評価承認に時間がかかった場合、中国で販売許可を得た新薬の発明専利に対して、国務院行政管理部門は、専利権者の請求に応じて、期間補償を与えることができる。補償期間は、5年を超えないものとし、新薬販売後の合計の専利権存続期間が14年を超えないものとする。

第六章 専利実施の強制許諾 第六章 専利実施の特別許諾
48条 国務院専利行政部門、地方人民政府の専利業務管理部門は、同級の関連部門と連携して措置を取ることで、専利公共サービスを強化し、専利の実施及び運用を促進しなければならない。

50条 専利権者は、国務院専利行政部門に如何なる部門又は個人にもその専利の実施を許諾する意思があることを書面により声明し、実施許諾料の支払い方法、基準を明確にした場合は、国務院専利行政部門は公告し、開放許諾を実行する。実用新案、意匠専利について開放許諾声明を提出する場合は、専利権評価報告を提供しなければならない。

専利権者は、開放許諾声明を取り下げる場合、その旨を記載する書面を提出しなければならず、国務院専利行政部門は公告する。開放許諾声明が公告により取り下げられても、それ以前の開放許諾の効力には影響を及ぼさない。

51条 如何なる部門又は個人が専利の開放許諾を実施する意思がある場合は、書面により専利権者に通知し、公告された実施許諾料の支払い方法、基準に基づいて実施許諾料を支払うと、専利の実施許諾を取得したものとする。

開放許諾期間中、専利権者は被許諾者に実施許諾料について協議して通常の実施許諾をすることもできるが、該専利について独占又は排他的許諾をしてはならない。

52条 当事者が開放許諾の実施について紛争を生じた場合、当事者の協議による解決を図り、協議を希望しない又は協議が成立しない場合は、国務院専利行政部門に調停を申し立てることができ、人民法院に提訴することもできる。

第61条 …

特許権利侵害を巡る紛争が実用新案専利権又は意匠専利権に関連する場合、人民法院又は専利業務管理部門は、専利権者又は利害関係人に対し、国務院専利行政部門が関連する実用新案又は意匠について検索、分析及び評価後に作成した専利権評価報告を、専利権侵害紛争の審理、処理のための証拠として提出するよう要求することができる。

661条 …

特許権利侵害を巡る紛争が実用新案専利権又は意匠専利権に関連する場合、人民法院又は専利業務管理部門は、専利権者又は利害関係人に対し、国務院専利行政部門が関連する実用新案又は意匠について検索、分析及び評価後に作成した専利権評価報告を、専利権侵害紛争の審理、処理のための証拠として提出するよう要求することができる。専利権者、利害関係人又は被疑侵害者は専利権評価報告を自発的に提出することもできる。

第63条 専利を偽称した場合、法に基づき民事責任を負うほか、専利業務管理部門が是正を命じかつ公告し、違法所得を没収し、違法所得の4倍以下の罰金を併科することができる。違法所得がない場合は20万元以下の罰金を科すことができる。犯罪を構成する場合は、法に基づき刑事責任を追及する。 第683条 専利を偽称した場合、法に基づき民事責任を負うほか、専利の執行を担当する専利業務管理部門が是正を命じかつ公告し、違法所得を没収し、違法所得の54倍以下の罰金を科することができる。違法所得がない場合、又は所得が5万元以下の場合は250万元以下の罰金を科すことができる。犯罪を構成する場合は、法に基づき刑事責任を追及する。

第64条 専利業務管理部門は、すでに取得した証拠に基づいて専利偽称の疑いがある行為に対して取り締まる際に、関係する当事者を尋問し、違法の疑いのある行為に関連する事情を調査することができる。当事者の被疑違法行為の場所に対して現場検証を実施し、被疑違法行為に関連する契約、領収書、帳簿及びその他の関連資料を閲覧し、複製することができる。また、被疑違法行為に係る製品を検査し、専利を偽称する製品であることを証拠により証明した場合は、封印し又は差押えることができる。

専利業務管理部門が法に基づき前項に規定する職権を行使する場合、当事者は協力し、助力しなければならず、拒否したり、妨害したりしてはならない。

第694条 専利の執行を担当する部門専利業務管理部門は、すでに取得した証拠に基づいて専利偽称の疑いがある行為に対して取り締まる際に、以下の措置を取る権限を有する。

(一)関係する当事者を尋問し、被疑違法行為に関連する事情を調査することができる。

(二)当事者の被疑違法行為の場所に対して現場検証を実施することし、

(三)被疑違法行為に関連する契約、領収書、帳簿及びその他の関連資料を閲覧し、複製することができる。また、

(四)被疑違法行為に係る製品を検査することし、

(五)専利を偽称する製品であることを証拠により証明した場合は、封印し又は差押えることができること

専利業務管理部門は専利権者又は利害関係人の請求に応じて専利権侵害紛争処理をするとき、前項第(一)号、第(二)号、第(四)号に掲げる措置を取ることができる。

専利業務管理専利の執行を担当する部門が法に基づき前項に規定する職権を行使する場合、当事者は協力し、助力しなければならず、拒否したり、妨害したりしてはならない。

70条 国務院専利行政部門は、専利権者又は利害関係人の請求に応じて、全国で重大な影響を及ぼす専利権侵害紛争を処理することができる。

地方人民政府の専利業務管理部門は、専利権者又は利害関係人の請求に応じて、本行政領域におけるその同一の専利権侵害事件に対して、併合して処理することができる。領域を跨ぐその同一の専利権侵害事件に対して、上級の人民政府の専利業務管理部門による処理を請求することができる。

第65条 専利権侵害による賠償額は、権利者が権利侵害によって被った実際の損失によって算定するものとする。実際の損失を算定することが困難な場合は、侵害者が権利侵害によって得られた利益によって算定することができる。権利者の損失又は侵害者が得られた利益を算定することが困難な場合、当該専利の実施許諾料の倍数を参酌して合理的に算定する。賠償額には、さらに権利者が侵害行為を制止するために支払った合理的な支出も含まなければならない。

権利者の損失、侵害者の得られた利益及び専利の実施許諾料を算定することがいずれも困難な場合、人民法院は専利権の種類、権利侵害行為の性質及び情状等の要素に基づき、1万元以上100万元以下の賠償と算定することができる。

7165条 専利権侵害による賠償額は、権利者が権利侵害によって被った実際の損失又は侵害者の侵害行為によって得られた利益に基づいて算定するものとする。権利者の損失又は侵害者の得られた利益実際の損失をの算定することが困難な場合は、侵害者が権利侵害によって得られた利益によって確定することができる。権利者の損失又は侵害者が得られた利益を確定することが困難な場合、当該専利の実施許諾料の倍数を参酌して合理的に算定する。故意に専利権を侵害し、情状が重い場合は、上述の方法に基づいて算定した額の一倍以上五倍以下で賠償額を算定することができる。

権利者の損失、侵害者の得られた利益及び専利の実施許諾料を算定することがいずれも困難な場合、人民法院は専利権の種類、権利侵害行為の性質及び情状等の要素に基づき、1万元以上100500万元以下の賠償と算定することができる。

賠償額には、さらに権利者が侵害行為を制止するために支払った合理的な支出も含まなければならない。

人民法院は、賠償額の算定のために、権利者がすでに証拠の提出に尽力しており、侵害行為に関連する帳簿、資料が主に侵害者が持っている場合は、侵害者に侵害行為に関連する帳簿、資料の提供を命ずることができ、侵害者が提供せず又は虚偽の帳簿、資料を提供した場合、人民法院は権利者の主張及び権利者が提供した証拠を参酌して賠償額を判定することができる。

第66条 専利権者又は利害関係人が、他人が権利侵害行為を行っている又は行おうとしていることを証拠により証明し、速やかに制止しなければ、その合法的権益が補填不能な損害を被るおそれがある場合は、提訴する前に人民法院に関連行為の停止を命ずる措置を取ることを申立てることができる。

申立人は申立に際して担保を提供しなければならない。担保を提供しない場合には、申立を却下する。

人民法院は申立を受けてから48時間以内に裁定しなければならない。特殊な事情により延長する必要がある場合は48時間延長することができる。関連行為の停止を命ずると裁定した場合は直ちに執行しなければならない。当事者が裁定に不服の場合は、一回だけ不服を申立てることができる。不服審査期間中は裁定の執行を停止しない。

申立人が、人民法院による関連行為の停止命令の措置を取った日から15日以内に提訴しない場合、人民法院は当該措置を解除しなければならない。

申立に誤りがあった場合、申立人は関連行為の停止により被申立人が被った損失を賠償しなければならない。

7266条 専利権者又は利害関係人が、他人が権利侵害行為を行っている又は行おうとしていることを証拠により証明し、速やかに制止しなければ、その合法的権益が補填不能な損害を被るおそれがある場合は、提訴する前に法に基づき人民法院に関連行為の停止を命ずる措置を取ることを申立てることができる。

申立人は申立に際して担保を提供しなければならない。担保を提供しない場合には、申立を却下する。

人民法院は申立を受けてから48時間以内に裁定しなければならない。特殊な事情により延長する必要がある場合は48時間延長することができる。関連行為の停止を命ずると裁定した場合は直ちに執行しなければならない。当事者が裁定に不服の場合は、一回だけ不服を申立てることができる。不服審査期間中は裁定の執行を停止しない。

申立人が、人民法院による関連行為の停止命令の措置を取った日から15日以内に提訴しない場合、人民法院は当該措置を解除しなければならない。

申立に誤りがあった場合、申立人は関連行為の停止により被申立人が被った損失を賠償しなければならない。

第67条 専利権侵害行為の制止のために、証拠が滅失するおそれがあり又はその後取得が困難になる場合、専利権者又は利害関係人は提訴する前に人民法院に証拠保全を申立てることできる。

人民法院は、保全措置を取る場合、申立人に担保の提供を命ずることができる。申立人が担保を提供しない場合は申立を却下する。

人民法院は、申立を受けてから48時間以内に裁定しなければならない。保全措置を取ると裁定された場合は直ちに執行しなければならない。

申立人が人民法院による証拠保全措置を取った日から15日以内に提訴しない場合、人民法院は当該措置を解除しなければならない。

7367条 専利権侵害行為の制止のために、証拠が滅失するおそれがあり又はその後取得が困難になる場合、専利権者又は利害関係人は提訴する前に法に基づき人民法院に証拠保全を申立てることできる。

人民法院は、保全措置を取る場合、申立人に担保の提供を命ずることができる。申立人が担保を提供しない場合は申立を却下する。

人民法院は、申立を受けてから48時間以内に裁定しなければならない。保全措置を取ると裁定された場合は直ちに執行しなければならない。

申立人が人民法院による証拠保全措置を取った日から15日以内に提訴しない場合、人民法院は当該措置を解除しなければならない。

第68条 専利権侵害訴訟の時効は2年とし、専利権者又は利害関係人が権利侵害行為を知った日又は知り得べき日より起算する。

発明専利が出願公開されてから専利権が付与されるまでの間に当該発明を使用して、適額の実施料を支払っていない場合、専利権者の実施料の支払いを要求する訴訟の時効は2年とし、専利権者は他人がその発明を使用していることを知った日又は知り得べき日より起算する。ただし、専利権者が専利権の付与日前に知った場合又は知り得べきであった場合は、専利権の付与日より起算する。

7468条 専利権侵害訴訟の時効は32年とし、専利権者又は利害関係人が権利侵害行為及び侵害者を知った日又は知り得べき日より起算する。

発明専利が出願公開されてから専利権が付与されるまでの間に当該発明を使用して、適額の実施料を支払っていない場合、専利権者の実施料の支払いを要求する訴訟の時効は32年とし、専利権者は他人がその発明を使用していることを知った日又は知り得べき日より起算する。ただし、専利権者が専利権の付与日前に知った場合又は知り得べきであった場合は、専利権の付与日より起算する。

第69条 次に掲げるいずれかに該当する場合は専利権の侵害とみなさない。

(五)行政認可に必要な情報を提供するため、専利医薬品又は専利医療器械を製造し、使用し、輸入する場合、及び専らそのために専利医薬品又は専利医療器械を製造し、輸入する場合

7569条 次に掲げるいずれかに該当する場合は専利権の侵害とみなさない。

(五)行政認可に必要な情報を提供するため、専利医薬品又は専利医療器械を製造し、使用し、輸入する場合、及び専らそのために専利医薬品又は専利医療器械を製造し、輸入する場合

専利権者又は利害関係人が販売申請された医薬品の関連技術案が、中国医薬品販売専利情報登録プラットフォームに掲載された関連専利権の保護範囲に属すると認めた場合、国務院薬品監督管理部門の医薬品の販売許可申請を公示した日から30日以内に人民法院に訴えを提起し、又は国務院専利行政部門に行政裁決を申し立てることができる。専利権者又は利害関係人が期限を過ぎても訴えを提起せず、又は行政裁決を申し立てない場合、医薬品の販売許可申請人は、人民法院又は国務院専利行政部門に申請に係る販売医薬品の関連する技術案が中国医薬品販売専利情報登録プラットフォームに掲載された関連の専利権保護範囲に属さない旨の確認を求めることができる。

人民法院又は国務院専利行政部門は、専利権者又は利害関係人の請求の受理の日から9月以内に発効裁判又は行政裁決を下した場合は、技術評審に合格した化学薬品の販売許可申請に対し、国務院薬品監督管理部門は人民法院の裁判又は国務院専利行政部門の行政裁決に基づいて薬品販売を認可するか否かを決定する。当事者は国務院専利行政部門による裁決に不服の場合、行政裁決を受領した日から15日以内に人民法院に提訴することができる。

国務院薬品監督管理部門は、国務院専利行政部門と連携して医薬品販売許可と医薬品販売許可申請段階における専利紛争解決の具体的なつなぎ合わせ方法を制定し、国務院の同意を得て実施する。

第72条 発明者又は創作者の非職務発明創造に係る専利出願権及び本法が規定するその他の権益を侵害、侵奪した場合、所属部門又は上級の主管機関が行政処分を行う。 削除

第73条 専利業務管理部門は、社会向けに専利製品の推薦等の経営活動に関与してはならない。

専利業務管理部門が前項の規定に違反した場合、その上級機関又は監察機関が是正、影響の排除を命じ、違法収入がある場合は没収する。情状が重い場合、直接責任を負う主管者及びその他の直接責任者に対し、法に基づき行政処分を行う。

7873条 専利業務管理部門は、社会向けに専利製品の推薦等の経営活動に関与してはならない。

専利業務管理部門が前項の規定に違反した場合、その上級機関又は監察機関が是正、影響の排除を命じ、違法収入がある場合は没収する。情状が重い場合、直接責任を負う主管者及びその他の直接責任者に対し、法に基づき行政処分を行う。

第74条 専利管理業務に従事する国家機関の職員及びその他関連する国家機関の職員が、職責を怠り、職権を濫用し、私利のために不正行為を行い、犯罪を構成する場合、法に基づき刑事責任を追及する。犯罪を構成するまで行かない場合、法に基づき行政処分を行う。 7974条 専利管理業務に従事する国家機関の職員及びその他関連する国家機関の職員が、職責を怠り、職権を濫用し、私利のために不正行為を行い、犯罪を構成する場合、法に基づき刑事責任を追及する。犯罪を構成するまで行かない場合、法に基づき行政処分を行う。

二、国家知識産権局、2020年上半期の統計データを発表

2020年7月9日に、国家知識産権局は、専利、商標、地理標識、集積回路レイアウト設計に関する上半期の統計データを発表した。

2020年上半期、中国の発明専利(以下、特許と省略)は、出願件数が68.3万件、登録件数が21.7万件であった。そのうち、国内からの特許の登録件数が17.6万件(職務発明が16.9万件、96.0%を占めた)であった。また、国内特許登録件数の企業別ランキングトップ3(香港、マカオ、台湾を除く)は華為技術有限公司(2772件)、OPPO広東移動通信有限公司(1925件)、京東方科技集団株式限公司(1432件)であった。

2020年上半期、PCT国際出願の受理件数は2.95万件であり、前年同期より22.6%増えた。そのうち、国内出願人によるPCT出願件数は2.68万件であり、前年同期より20.7%増えた。

2020年上半期、特許出願の審査期間が20.3ヶ月、高価値専利の審査期間が15.2ヶ月、実用新案の審査期間が6.4ヶ月、意匠の審査期間が3.2ヶ月であった。

2020年上半期、拒絶査定不服審判の請求件数は2.62万件、結審した件数は2.57万件、無効審判の請求件数は0.26万件、結審した件数は0.43万件であった。

2020年上半期、中国の商標出願件数は428.4万件、登録件数は262.9万件であった。2020年6月末まで、有効な登録件数が2741.4万件であった。登録までの平均審査期間は4.5ヶ月以内に短縮された。商標拒絶査定不服審判、三年不使用取消審判、無効審判等を16.6万件受理し、19.2万件結審した。

中国出願人によるマドリード国際出願を3875件受理し、前年同期より36.0%増えた。2020年6月末まで、中国出願人によるマドリード国際出願の商標登録有効件数は4.1万件であった。

三、北京知的財産法院2020年上半期の統計データを発表

2020年上半期、新型コロナウイルスの影響があったにもかかわらず、北京知的財産法院は、オンラインや郵送による訴訟の提起、オンラインによる審理プロセスなど様々な対応措置を講じた。受理した件数は計10312件、結審した件数は8782であり、結審件数/受理件数の比は85.2%となり、そのうち、審理完了した技術類の事件が1370であり、前年同期より27%増えた。

また、2020年上半期、計56名の技術調査官が、271件の技術事実調査に参加し、開廷審理を順調に推進させ、技術類事件の裁判の効率及び質を向上した。

以上