コンプライアンス業務

1.はじめに

中国では独禁法分野において、2021年11月18日に3つの大きな出来事があった。1つ目は、「国家市場監督管理総局独禁局」が「国家独禁局」に改められ、トップが日本でいえば副大臣クラスに相当するレベルへと格上げされる組織改編が行われた。2つ目は、「原薬の分野における独占禁止に関するガイドライン」(以下、「原薬独占禁止ガイドライン」という)が公布され、2021年11月15日より実施された。3つ目は、中国南京市の某原薬販売会社に対して市場支配的地位の濫用を理由とした処罰が行われ、約658万人民元(約1.2億円)の違法収入の没収・過料が科された。
Continue Reading 原薬に係わる独占禁止ガイドラインから分かった注意点

1.はじめに

中国の「個人情報保護法」が2021年11月1日に施行された。同法は、個人情報保護分野の「基本法」として、個人情報の取扱や個人情報越境提供に関する規制、個人の権利と個人情報取扱者の義務などについて、全面的かつ系統的に定めている。企業を含む個人情報取扱者が遵守すべき義務についても明確な規定を設けていることから、社会の大きな注目を集めている。他方、「個人情報保護法」は「基本法」としての位置づけであることから、その一部の規定について、実務上どのように取り扱うべきか詳細に定めていない。このため、その他の関連する法規、国家基準などを参考にする必要があり、一部の内容については、今後の付随的な法規、細則又は基準などによるさらなる整備が待たれる。
Continue Reading 個人情報取扱者の義務と会社の講じるべき対応——安全管理義務を例に

1.はじめに

個人情報の保護の専門的な法律として「中華人民共和国個人情報保護法」(以下、「個保法」という)が2021年8月20日に可決・公布され、同年11月1日にその施行日を迎える。これは、同法が2018年に中国全国人民代表大会常務委員会の立法計画に組み込まれた後、3年にわたる立法作業の成果であり、その第1条は、その立法根拠として憲法を追加し、「中華人民共和国公民の人格的尊厳の不可侵」や「中華人民共和国公民の通信の自由及び秘密に対する法律的保護」など、憲法の規定を具体化・確実化するものとして重大な意義を有している。本誌2021年6月号では、2021年4月に公布された個保法の第二次審議稿(以下、「第二次審議稿」という)について紹介したが、本稿では、第二次審議稿との比較を含む個保法の要点などに関し論ずるものとしたい。
Continue Reading 中国個人情報保護法の要点―その第二次審議稿との比較を中心に

1.はじめに

近年、中国政府は、国内の企業の自主的な革新を積極的に奨励するとともに、対外開放の基本的な国策を堅持し、「引進来(外資誘致)」と「走出去(海外進出)」とを結合して、中国の総合的な国力と国際的な影響力の急速な向上を推進している。同時に、少数の先進国が中国の内政問題を頻繁に指摘して、政府機関、企業、その他の組織、個人等を含む数百の中国の実体をいわゆる「制裁リスト」、「管理リスト」等に掲げ、制裁・規制を加えた。
Continue Reading 中国「反外国制裁法」の公布について

1.はじめに

昨今、デジタルイノベーションの加速化、データ取得をめぐる競争の激化など、中国のみならず世界を取り巻く環境は激しく変化し、データ主権の概念が現れており、データの安全の保護は、国の安全と経済発展に関する重要な課題となっている。各国の立法動向として、EUが「一般データ保護規則」(GDPR)、アメリカが「カリフォルニア州消費者プライバシー法」(CCPA)、日本が「個人情報保護法」(PIPA)など多くの国がデータ保護関連法令を次々と制定している。このような背景の下、中国では2018年からデータ保護の立法作業が進められ、3回の審議を経て、2021年6月10日、中国のデータ分野における基本法となる「中華人民共和国データ安全法」(以下、「データ安全法」という。中国語:数据安全法)が正式に採択され、9月1日より施行される。同法の施行により、中国のデータ保護分野は本格的に軌道に乗ったといえる。そこで、本稿においては、同法の注目すべき内容について説明するものとしたい。
Continue Reading 中国「データ安全法」の要点解説