著者:邰紅,韋嵥(知的財産省)

法律要点:

  1. 医薬化合物塩形態の公開充分の判断
  2. 医薬化合物塩形態の進歩性の判断

第一部分 係争特許

本件特許は、国際非特許薬品名称「エルトロンボパグ」に関わります。エルトロンボパグは、TPO受容体作動薬として、血小板産生の亢進及び慢性免疫性血小板減少症(異常の血小板数と表れ、ITPと略称される)の治療に用いられます。エルトロンボパグは、GSK社により発明・開発されており、現在、NOVARTIS社が本件特許を含めて全ての権益を取得しました。エルトロンボパグは、2017年12月に中国医薬品監督管理局により許可され、商品名称:Revolade®で発売され、ITPの治療に用いられます。Revolade®は、2019年8月に国家医療保険償還医薬品リスト(NRDL)に入れられました。当該医薬品の2020年の販売金額は世界中で17億USドルを超え、増加幅が20%を超えました。
Continue Reading 医薬化合物塩形態の公開充分及び進歩性の判断 ——エルトロンボパグ(エタノールアミン)塩に関する無効審判案件の評述

意匠権者であるロイヤル・フィリップス社は、コンシューマーヘルスケア及びホームケアの分野で世界をリードしてきた世界的に有名な企業である。120年以上前に最初のフィリップス電球が発売されて以来、イノベーションと人材を中心とした姿勢が当該会社の推進力の中心となっている。このようなイノベーションは間違いなく消費者にアピールされ、革新的な製品は一般の人々の日常生活に浸透している。
Continue Reading 発明専利の意匠専利の先行意匠への認定について

2021年4月に開示された最高人民法院による終審判決では、社会大衆の信頼利益と専利権保護とのバランスに基づいて、専利権者が専利権確認手続きにおいて他の請求項の技術的特徴を加える方式により専利権侵害訴訟手続きで主張された請求項を補正した場合、法院は、請求項補正前の権利侵害行為による損害賠償の減額を酌量することができると認定された。そのため、権利確認手続きにおいて、他の請求項の技術的特徴を加える補正を慎重に行うべきである。
Continue Reading 最高人民法院は、権利確認手続きにおいて他の請求項の技術的特徴を加える補正が行われた場合、権利侵害訴訟の損害賠償の減額を酌量することができると認定した

最近、最高人民法院が2つの実用新案権侵害係争事件について下した終審判決では、訴えられた侵害者が販売の申出の権利侵害行為のみを実施したとしても、侵害の停止以外、損害賠償の民事責任を負うことが明確になった。
Continue Reading 販売の申出による権利侵害も賠償責任を負うと最高人民法院に明確化された

近年、人工知能やビッグデータなどの新興技術の発展・成熟に伴い、中国国内でハイテック起業のブームが起きている。株式市場の科創板がタイムリーに発足したことで、中国国内のハイテクベンチャー企業が資本市場で最もホットな投資対象となっている。知的財産はハイテクベンチャー企業のコアバリューであり、投資のハイリスクポイントでもあるため、投資者が投資を決定する前に最も重要な関心事になる。そのため、より多くの投資者が、投資決定を行う前に仲介機構に依頼してターゲット企業に対して知財デューデリジェンスを行い、ターゲット企業の知財情況を把握して、投資決定のための重要な情報サポートを提供することを選択する。
Continue Reading 知財デューデリジェンスに関する紹介

最高人民法院は、2020年6月15日に「最高人民法院による知的財産権の民事訴訟の証拠に関する若干の規定(意見募集稿)」(以下、「知的財産権の証拠に関する若干の規定」または「意見募集稿」という)を公表し、2020年7月31日を期限として公衆意見を求めた。
Continue Reading 「最高人民法院による知的財産権の民事訴訟の証拠に関する若干の規定(意見募集稿)」に対する論評

2020年5月28日に、中華人民共和国民法典が第十三回全人代で採決され、2021年1月1日から施行される。これは中国の初めての民法典であり、画期的な出来事である。民法典第1185条によると、第三者の知的財産を故意に侵害し、情状が深刻な場合、被侵害者は対応する懲罰的賠償を請求する権利を有する。
Continue Reading 新たな民法典への知的財産権侵害の懲罰的損害賠償制度の導入

第一段階の中米貿易交渉は合意され、2020年1月に貿易協定が結ばれた。その協定の第一章は知的財産権に関し、商業秘密や薬品関連の知的財産権、電子商取引プラットフォーム上の海賊版や偽造、地理標識、悪意商標及び知的財産事件の司法執行及び手続き等が含まれた。
Continue Reading 最高人民法院及び最高人民検察院による知的財産権の複数の司法解釈の意見公募

2020年5月13日に、中国国務院知的財産権戦略実施活動部局間合同会議弁公室[1]は、「2020年の国家知的財産権戦略の実施徹底による知的財産権強国建設推進加速計画」を公表し、知的財産分野の改革の徹底、知的財産保護の強化等から、2020年の知的財産関連改革を計画した。知的財産に関する要点は以下の通りである。
Continue Reading 知的財産権合同会議弁公室は2020年計画を公表し、多手段を通じて専利等の技術類知的財産権の保護を強化する

作者:楊華 金杜法律事務所知的財産権部

杨华日、商標申請人に向けて効率的且つ便利な商標登録出願サービスを提供することを目指し、中国商標局は7項の新たな措置を採用すると発表した。これは、近年以来、商標権利人と商標代理機構の要求に対する初めての返事である。前記措置のうち、補正通知書の詳細化、一部業務の加速審査通路の開通などは特に注目を引いている。具体的な措置は、以下のようである。

一、『商標登録出願常見問題ガイド』を整理・公表する。

商標局は、商標登録出願の受理業務実務においてよく見られる問題を網羅し、新『商標法』と『商標法実施条例』が施行された後で新たに現れた状況・問題と結合し、商標登録出願において出願人の気にかかる焦点問題と一般的な問題を整理したうえで、『商標登録出願常見質問ガイド』を編纂し、中国商標局サイトにて公表する。
Continue Reading 中国商標局が申請人に向けて新たな7項措置を出す!