岳瑋寧、王俊、韋嵥 キング&ウッドモールソンズ

2020年11月10日、国家知識産権局は、「専利審査指南」の改正草案(第二回意見募集稿)を公布し、20201210までに意見公募を求める。

今回の改正草案は、審査指南の五大部分に渡り、方式審査、実体審査、コンピュータプログラム関連出願、薬品・バイオ関連出願、漢方薬出願、国内段階に移行された国際出願の手続き、復審及び無効審判手続き、手続き関連という8つの面に集中している。以下、改正草案に含まれる重要なトピックについてご参照のために説明する。

1.分割出願の提出時期

「出願人は、復審請求を提出してからの復審期間中、復審決定を受領した日より3ヶ月以内、及び復審決定を不服として提起した行政訴訟の期間中でも、分割出願を提出することができる。」

2.公開方式

「出版物は、紙書類や視聴資料であってもよいし、インターネット又は他のオンラインデータベース上に存在する資料などであってもよい」。インターネット又は他のオンラインデータベース上に存在する資料の公開日は、一般的にウェブページ上の掲載日として決定される。ウェブページに掲載日がない資料について、ログファイルに含まれる掲載日と変更日、検索エンジンにより提供されているインデックス作成日、アーカイブサイトにより提供されている日付などを参考して公開日を決めることができる。」

3.  新規性を喪失しない公開

他人が出願人の許可を得ずに発明創造の内容を漏らし、第三者がこの方式により開示された発明創造を知った後再度公開した場合、専利法第24条第3項に規定のパターンとみなす」。

つまり、上記パターンによる公開は、新規性を喪失しない公開とみなす。

4. 意匠の審査

使用の際容易に見えない、又は見られない面について、製品の対応する図面が省略されることができる。

特定の図面を省略する理由は、簡単な説明に明記されなければならない。例えば、左側面図は、右側面図と対称しているため省略される。

部品について、通常、簡単な説明において、使用される製品を明記しなければならず、必要に応じて使用される製品の用途を明記することができる。

ギャンブルデバイス及び麻薬を吸うための工具に係る意匠は、法律に違反するものに該当し、専利権を受けることができない。

「低俗」内容の意匠は専利権を受けることができない。

公益を害する意匠は保護できないので、そのような出願は専利権を受けることができない。

5.診断方法

診断方法に該当するため専利権が付与されてならない例から、血圧計測法が削除された。

直接な目的は、診断の結果又は健康状況を取得することではなく、コンピュータなど情報処理能力を有する装置のみにより実施され中間結果を取得する情報処理方法は、診断方法に当たらない。

6.進歩性の審査

「三ステップ法」の審査について、更に、以下のことが規定されている。

最も近い先行技術を確定するときに、発明が解決しようとする技術課題に関連する先行技術を優先的に考慮する。

発明のすべての技術効果が、何れも、最も近い先行技術と伯仲している場合、改めて確定される技術課題は、最も近い先行技術と異なる選択可能な技術案を提供するものである。

改めて確定される技術課題は、相違点が発明で達成できる技術効果と適合しなければならず、相違点自身に認定されてはいけないし、相違点への指向や示唆を含んではいけない。

7. コンピュータプログラム関連特許出願の審査

  • 客体該当性
  • コンピュータプログラムに係る発明専利出願の解決案がコンピュータ実施の技術的手段を利用する場合、必ず、技術課題を解決でき技術効果を得ることができる。この場合、解決案が中国専利法第2条第2項に規定の技術案に該当し、専利保護の客体に該当する。
  • 前記コンピュータ実施の技術的手段は、以下の2つのパターンを指す。

パターン一:解決案には、コンピュータ、ネットワーク装置、プラグラブル装置などの情報処理装置、及び上記情報処理装置がコンピュータプログラムを実行することによって制御及び処理を実現するという内容が記載されている。

パターン二:解決案には、情報処理装置が含まれていないが、コンピュータプログラムを実行することによってコンピュータ制御及び処理を表すという内容が記載されている。

例として、解決案には、工業プロセス、測定、テストプロセスの制御プログラムを実行することによって、当該工業プロセス、測定、テストプロセスに対して一連の制御を実施するという内容が記載されている。

別の例として、解決案には、技術データ処理プログラムを実行することによって、当該技術データに対して一連の技術処理を実施するという内容が記載されている。

更に別の例として、解決案には、システムの内部性能を向上するプログラムを実行することによって、コンピュータシステムの各構成部分に対して一連の設定又は調整を実施するという内容が記載されている。

  • 請求項には特定の技術分野が要求されず、汎用的なAI方法が専利保護の客体に該当するようになる!

専利保護の客体に該当する例:

深層ニューラルネットワークモデルのトレーニング方法であって、

トレーニングデータのサイズが変化すると、変化されたトレーニングデータについて、予め設定された少なくとも2つの候補トレーニング案におけるトレーニング時間をそれぞれ計算することと、

予め設定された少なくとも2つの候補トレーニング案から、トレーニング時間が最短のトレーニング案を前記変化されたトレーニングデータのための最良のトレーニング案として選択することと、

前記最良のトレーニング案において前記変化されたトレーニングデータをモデルトレーニングすることとを、有し、

前記少なくとも2つの候補トレーニング案は、少なくとも1つのシングルプロセッサの案と、少なくとも1つのデータ並行に基づくマルチプロセッサの案とを含む方法。

  • コンピュータプログラム製品を請求項の主題とすることができる。

コンピュータプログラム製品は、主にコンピュータプログラムによってその解決案を実現するソフトウェア製品として読まれるべきである。

受け入れられる請求項の例:

コンピュータプログラム/命令を含むコンピュータプログラム製品であって、当該コンピュータプログラム/命令がプロセッサによって実行されると、請求項1に記載の方法のステップを実施することを特徴とする。

  • 進歩性の審査

請求項におけるアルゴリズム特徴について、アルゴリズム特徴が、例えば、データ記憶量の減少、データ伝送量の減少、ハードウェアの処理速度の向上などコンピュータシステムの内部性能の向上を実現すると、当該アルゴリズム特徴が技術的特徴と機能上支持し合い、相互作用関係を有すると認定でき、進歩性審査の際、考慮すべきである。

請求項におけるビジネス規則特徴について、解決案がユーザ体験の改善をもたらし、かつ、当該ユーザ体験の改善は技術的特徴、又は技術的特徴及びビジネス規則特徴の組合せによって生み出されるものであると、進歩性審査の際、考慮すべきである。

8. 薬品・バイオ関連発明出願の審査[1]

  • 試験データの補充提出

薬品関連発明出願について、試験データの補充提出の2つの例が与えられている。

化合物請求項の充分な公開を証明するために試験データを補充提出する場合には、当該データを受け入れられるために、類似の活性を有する構造的に類似した化合物を記載した先行技術文献を提供する必要がある。

化合物請求項の進歩性を証明するために試験データを補充提出する場合には、補充データによって特定の値が得られるように明細書に活性値の範囲の開示が記載される必要がある。

  • 化合物の新規性

化合物の構造が開示され、かつ当業者は特許請求された発明の構造と同じであると推定できる場合、当該化合物の新規性を喪失させる。

また、製造方法及び効果実験データなどを含む他の情報を参考して、新規性を判断することができる。

  • 化合物の進歩性

「三ステップ法」にしたがい、進歩性を評価する。技術課題を解決するために化合物の構造を変更する動機づけが当業者にはあるかどうかを評価することが重要である。

先行技術と類似の用途又は技術効果を有する化合物について、予想外の技術効果を達成できる場合、当該化合物は進歩性を具備している。

9.無効審判手続き

  • 審理の方式

無効審判手続きにおいて、合議組の裁量により、口頭審理、書面審理、又は口頭審理と書面審理の組合せで審理されることができる。

当事者が書面で口頭審理請求を提出する場合、口頭審理の必要がないと合議組に認定されることを除き、口頭審理を行わなければならない。

口頭審理は、オンライン、オフライン、又はオンラインとオフラインの組合せで行われることができる。

  • 応答期限

無効審判手続きにおいて、転送される通知書に対して指定される応答期限は、通常一ヶ月であるが、簡単なケースの場合、一ヶ月より短い期間であってもよい。

10.無効審判手続きにおける意匠の審理

  • 実質的同一の意匠

相違点は、一般的な注意力を払う程度では容易に気付かないほど局部の微細な相違にある場合、係争意匠と対比意匠は実質的同一なものとなる。

  • 全体的に観察、総合的に判断

全体的に観察、総合的に判断とは、一般消費者が判断の主体として、係争意匠と対比意匠とを全体的に観察し、両者の共通点と相違点とを確定し、かつ、共通点と相違点の全体的な視覚効果への影響を判断し、総合的に結論を出す。

  • 中国特許法第23条第2項に基づく審理

中国特許法第23条第2項に基づいて審理する際、係争意匠を、一つの先行意匠と単独で対比してもよいし、2つ以上の先行意匠の特徴の組合せと対比してもよい

組合せ可能な先行意匠の特徴が物理上又は視覚上当然に区別できる設計であり、相対的に独立する視覚効果を有し、任意に区画される点、線及び面が、組合せ可能な先行意匠の特徴に該当しない。

以上

[1] この部分は、2020年10月4日に公布され2020年11月15日までに意見公募が行われた「専利審査指南」の改正草案の第一部分に該当し、全面的なご了解のために合わせてご紹介致す。