立荣、王娟娟、郭煜 知识产权部 金杜律师事务所

 一、中国国家知識産権局による2020年の統計データの発表

2021年1月22日、中国国家知識産権局は、特許、商標、地理的表示、集積回路の回路配置に関する2020年の年間統計データを発表した。

1.専利(特実意を含む)に関して

2020年、中国の特許登録件数は53.0万件であった。2020年末まで、中国国内(香港・マカオ・台湾を除く)の有効な特許件数は221.3万件であり、人口1万人あたりの特許保有件数は15.8件に達している。

2020年、PCT国際出願の受理件数は7.2万件であった。そのうち、中国出願人によるPCT出願件数は同期比17.9%増の6.7万件であった。

2020年、中国の実用新案登録件数は237.7万件、意匠登録件数は73.2万件であった。また、専利拒絶査定不服審判の結審件数は同期比28.9%増の4.8万件であった。無効審判の結審件数は同期比34.1%増の0.7万件であった。

2020年、高価値専利の審査期間が14ヶ月、特許出願の平均審査期間が20ヶ月に短縮された。

2. 商標に関して

2020年、中国の商標登録件数は576.1万件であった。そのうち、中国出願人によるマドリード国際出願を同期比16.1%増の7553件受理した。商標登録の平均審査期間は4ヶ月に短縮された。

2020年、商標異議申立の結審件数は同期比64.7%増の14.9万件であった。各種類の商標審査案件を35.8万件結審し、同期比7.8%増となった。

3.地理的表示と集積回路の回路配置に関して

2020年、受理した地理的表示商品の登録申請は10件、承認された地理的表示商品の登録件数は6件、地理的表示商品の専用マークの使用を許可された企業は1052社、承認された地理的表示の登録件数は765件であった。2020年末まで、承認された地理的表示商品の登録件数は累計で2391件、地理的表示商品の専用マークの使用を許可された企業は累計で9479社、地理的表示の登録件数は累計で6085件であった。

2020年、集積回路レイアウトの登記申請は同期比72.8%増の14375件で、登記証書発行された件数は同期比77.3%増の11727件であった。

4. 知的財産権の保護及び運用に関して

2020年、中国各省の専利権侵害紛争行政裁決事件の合計件数は4.2万件超えた。

2020年、中国における専利、商標の質権設定融資プロジェクト件数は同期比43.8%増の12039件で、質権設定融資額は同期比43.9%増の2180億元であった。

二、中国最高裁知識産権法廷の設立してから二年間の知財訴訟統計データ

2019年1月1日より、最高裁知識産権法廷は、全国的に特許等専門性が比較的高い技術に関する民事及び行政控訴事件を統一に審理することになった。設立してから2020年12月23日までの約二年間、最高裁知識産権法廷が合計5104件受理した。結審した件数が4124件であった。その中、民事二審事件を2905件受理し、2277件結審した。行政二審事件を908件受理し、614件結審した。

また、審理の基準を統一させ、裁判の品質と効率を向上させるために、30以上の技術分野にわたり360名あまりの技術調査官からなるチームがあり、技術調査官が法院の審理に参加し、技術的事実の究明という難題を効果的に解消することが期待されている。

三、中国特許局復審と無効審理部による2020年の復審・無効に関する統計データ

中国国家知識産権局特許局復審と無効審理部(元復審委員会)は、2020年の復審・無効に関する統計データを発表した。

2020年、特許局復審と無効審理部が受理した復審(拒絶査定不服審判、以下同じ)の請求件数は5.467万件であり、受理した無効審判の請求件数は6178件であった。また、復審と無効に関する行政訴訟の立件の件数は1841件であり、2019年並みであった。

2020年、特許局復審と無効審理部が結審した復審および無効審判請求の件数はそれぞれ4.8046万件、7144件であった。復審と無効に関する行政訴訟(注:審決取消訴訟)は2171件結審された。なお、無効審判請求の結審件数が大幅に増加した中、無効に関する行政訴訟の件数が著しく減少した。2020年無効に関する行政訴訟の比率が20%から12%に下がった。

審判期間については、復審請求事件及び無効審判事件は平均的にそれぞれ14.1ヶ月、5.9ヶ月である。また、優先審査手続きで結審された復審請求の件数は200件であり、平均の審判期間は3.1ヶ月であり、結審された無効審判の件数は125件であり、平均の審判期間は4ヶ月であった。

、国家知識産権局による「専利出願行為を一層規範化、厳格化する行為の通知」の発布

2021年1月27日、国家知識産権局は、「専利出願行為を一層規範化、厳格化する行為の通知」を発布した。その要点は以下の通りである。

1.専利出願の補助金制度の見直し

当該通知によると、2021年6月末までに、全面的に専利出願段階の補助金を廃止すし、各地方政府は補助、奨励、手当等を通じて財政の資金援助をしてはならないとした。現行の補助金の範囲は登録された発明専利(PCTおよびその他のルートで海外で登録された発明専利を含め)に限り、登録後に補助するとした。また、累計の補助金総額は権利付与するために支払った官費の50%を超えてはならず、特許年金及び弁理士手数料を補助してはならない。詐欺で補助金をだまし取った場合、補助金は期限付きで回収される。十四次五か年計画(2021-2025)期間中に、各地方政府は徐々に専利出願への各種財政補助を減少し、2025年までに全部取消すとする。

2.専利権取引の管理監督の強化

技術革新と実施を目的としない専利出願権及び専利権の譲渡行為を徹底的に抑制し、専利取引サービスを提供する機関やプラットフォームを指導し、取引金額や背景の調査を徹底させるとする。

以上